★ 鑑定士と顔のない依頼人
パイレーツオブカリビアンのバルボッサ役、ジェフリーラッシュ主演。
結末はハッピーエンドかバッドエンドか議論ができる
"クリスマスキャロル" って感じ。
主人公は、古い邸宅から技術品を買い入れ、
オークションにかける鑑定士。
天涯孤独で、親がいなくなったあと、
孤児院で罰として手伝わされた絵画修復の経験を活かし、
美術品を見て、自らは女性の肖像画を集める日々。
妻はおらず、女性の肖像画を手に入れるために
売れない画家と手を組みつつ、オークションにいそしむ日々。
そんな彼に大きな邸宅をまるごと鑑定する依頼が届くものの
依頼人は過去のトラウマから外に出られない女性。
壁越しに品物の鑑定をしつつ、女性を一目見たい情動にかられる主人公。
女性と心を通わせ、オークションからも引退し、
これからは女性と暮らそうと思った矢先。
裏切りにより、女性と女性の肖像画すべてを失う。
あらすじだけでも書ききれないし、
多すぎず、でも多彩な登場人物にも心を打たれる作品。
なにより、私は「孤独な老人が依頼人に恋をし、依頼人がトラウマを乗り越える過程で自分自身も人を愛することに気づいたハッピーエンド」を想定していたので、
最後に、ホスピスで抜け殻のようになった主人公を見て
驚愕した。
アクションではないが、ある意味スリル満点。
じゃあ、騙された主人公は不幸のどん底に落とされた、
悲しい、恨みで一杯の作品かというとそうではないと思う。
最初は、裏切った仲間に恨みや怒りもあったと思う。
しかしながら、思い出の地を巡る度、旅、
ああ、みんなグルだったんだな。。。と思いつつも、
人を愛した経験を最後にできたことに心に水を与えられた感情があったと思う。
それが故に、悲しみは深くなったかもしれないし、
愛した女性と過ごせない(しかも騙されていた)ことに
寂しさも感じられたかもしれない。
主人公に感情がまったくなく、冷徹だったとは思わないけど、
人生の最後に、あらゆる今まで体験しなかった感情が
洪水のように押しかけてきたんだと思う。
私は、日々、感じることを大切にしようと思った。