● アウシュヴィッツの小さな厩番

高校の友人がたまたま X でおすすめしてて、近しい人がおすすめしている本は糸目なく買うことにしているので、買ってみた。(友人はたぶん図書館で借りてるだけ)

 

さらさら読めるし、変にグロテスクな表現はしていないのですが、

それでも、じわじわ心にくる。

本は寝る前に読むことが多いのですが、あんまりうまく寝れなくなって

昼間読むことが多くなりました。

 

どんどん日常が変わっていって、普通のドイツ人として、過ごしていたのに、

あっという間に、収容所での生活になったところが書かれている。

 

特に印象に残ったのは、主人公は 10 代の数年間をアウシュビッツ含めた収容所で過ごしたのですが、

その中で、厩の係になって、そのときだけは、動物を世話することで、

少し救われたこと。

 

アウシュビッツを抜けた後、自分に役割がなくなって、

自由ができた後、自分には誰も役割や、求めてくれる人がいなくなった後のつらさでした。

 

人は強制され、抑制されて、ひどい生活が続き、それに慣れると

その後、自由にされても、戸惑うことが、衝撃でした。

 

私が好きな chika さんという北欧に移住した人が

本に書いていたカマスの話も似ていて、

ずっと、ガラスの壁があって、その向こうに、小魚がいる状態だと、

最初の数回は、カマスはガラスにぶち当たっても、小魚を食べようとするけど、

しばらくすると、そこにガラスがあることを理解し、

小魚を食べようとしなくなる。

その状態で、ガラスを外すと、もうそこに壁はないのに、

カマスは小魚を食べようとしないらしい。

 

自分で自分を抑制してないか、

自分で出来ないと勝手に思い込んでないか考えさせられる。

 

アウシュビッツを開放されて、ほぼ何も食べてなかった人々が

アメリカ兵から高カロリーなものを急に与えられて、

それを胃腸が受け付けず、解放された後に死んだ人がいたのも衝撃でした。

 

何千人、何万人が強制的に閉じ込められ、

本当に数人しか生き残れず、それは、本当に運だった…と思うと

この世に神はいないな…と思った。

 

学び、考え、一筋縄でいかないことを学ぶための本でした。

夏休みの宿題的な図書としては完璧。

● 汝、星のごとく 凪良ゆう

親しい友人と、本屋に行き、そこで教えてもらった本でした。

久々に、止まらなくなって、深夜まで読み続けてしまい、

ほぼ、1日で、読み切りました。気づけば、深夜 2 時でした。

 

四国の、島の出身の少女と、

都会から、引っ越してきた少年のお話。

 

少女は、将来になりたいものがなく、

少年は、漫画のあらすじ(脚本のような)を書くのが好きで、

絵を描く人とタッグを組んで、漫画を世に出すことを目指している。

 

親だって人間で、ダメなところ、情けないところもたくさんある。

そう、気づいたのは、最近だし、今も気づいてるけど、

受け止めきれないところがある。

親は、いつだって、完璧でいてほしいという願望は、どの子供にもある、夢みたいなものだ。

 

少年少女の親は、自立して、生計を立て、立派なわけではない。

ふたりは、ヤングケアラーに自覚なく、やりたくもなく、なっている。

 

少女の母は、浮気して、ほとんど家にいない父親にすがっている。

少年の母は水商売をしていて、恋が多く、そのたびに少年を置いていく。

 

自立する、自分のお金で、自分の口をうるおせる。

それは、自由だし、責任があること。でも、その自由は、私も得たいし、保持したいものだった。

 

時代だから、仕方ないとはいえ、

自分や、多くの母親が、いやでも、経済的に自立していないので、

父親から離れられないのをたくさん見てきた。

 

だから、そのせいにするわけではないけど

自分が家庭を作ることが、幸せに直結しないと考えている。

 

自分で自立して、一人でも、猫くらいは養えるようになって、

その状態を維持する必要があるし、それは私のやりたいことである。

 

必死に、刺繍で生計を立てていく主人公を見て、

私ももっと必死になりたいと奮い立った。

 

また、成功したけど、ちょっとした失敗で、

奈落の底にいた少年と、その相方を見ていると、

自分が本当にラッキーだったと感じるし、

人がいなくなるのは、やはりさみしくて、心に大きな打撃を、

穴じゃなくて、黒く錆びたような塊を残すんだと感じた。

 

自立して、自分の足で立つ。

立って歩いて、走れるようになりたい。

 

たまに、立ち止まって、よりどころになるところを探したいし、

できれば、本当に大切なごくわずかな人の依り代になりたい。

★ 洗骨

観たのは 2 回目なのですが、1 回目はブログに書いていなかったみたい。

7 月に沖縄にダイビングに行って、買ったコーヒーのセットがあった。

顆粒のコーヒーで、黒糖が入っていて、1 杯ずつ入れられるもの。

ふるさと納税でも買えるみたいで、少しお高かったけど、買って帰って飲んでいた。

最後の 1 本が粟国島で、なんかどこかで見たな…と字面を眺めていた。

item.rakuten.co.jp

そうだ。「洗骨」という映画の舞台が粟国島だった!と思い出し、

もう一度、Amazon Prime Video でレンタルして、見返しました。

 

映画の最初はお葬式から始まります。

女性が一人、棺に入り、息子と思しき人が、「おかあ、また 4 年後ね」と言う。

 

今でも粟国島の本当に一部には、死者を土葬して、4 年後に掘り返し、
骨を洗って供養する、洗骨という儀式があるらしい。

 

なんで、以前、この映画を観たかは覚えていないけど、

その異様さというか、本当は人間はこうあって、感じるものだんだろうけど、

東京やほかの都市にはないな…と思った記憶がある。

 

もちろん、人はいつか死ぬし、失敗するし、だらしない人もいるし、

言えない事情もあって、その中に救いが少しあることもある。

それは、わかっていても、頭で理解しても、感覚や感触でわかることは少ないように感じた。

 

もう一度、会えるなら、骨になっても会いたい人や、

自分の骨を洗ってほしい人はいるだろうか。

 

主人公のおとうさん(亡くなった女性の旦那さん)は、

洗骨の時まで、亡くなってから、なかなか受け入れられず、

ずっと、亡くなった奥さんの分の布団も敷き続けていた。

 

お酒に逃げて、事業に失敗して、借金を息子に返してもらって、

それでも、最後に「申し訳なかった。明日の洗骨はよろしくお願いします」って言えるお父さん、

実際に目の前にいたら、殴りたくなるんだろうけど、

これはこれで立派。

ちゃんと謝れるってすばらしいこと。

 

自分の父親は、借金はないし、ちゃんと働いたけど

人に譲ったり、譲歩することがないように感じていて、

やっぱり好きになれないし、かかわりあいたくないと思った。

 

田舎だとそうはいっても関わらないといけないこともあって、

それはそれでコミュニティ地獄なんだろうな。

 

おとうさんのお姉さんが、「この世とあの世はたいして変わらない」というのが、

この話の言いたいことだと感じました。

 

洗骨に行くとき、墓地の区域に入る前に、

お父さんが、笹のようなものを境目において、「失礼します」という

きっと、この世とあの世は、その程度の境目なんだな。

 

いまは死ぬこと、死者を見ることが、身近じゃないから、

切り離されて、すごくレアなことに感じるけど、

きっと、そんなことないんだろうな。

 

おじいちゃんとおばあちゃんも、

行ったり来たりしてくれるといいな。

 

 

● 52ヘルツのくじらたち

なんとなく、表紙を発売当初に本屋さんで見て、
その青色の綺麗な表紙に興味を持ちつつ(本屋大賞というのもありw)
当時は紙の本だったので、たぶん買わなかった作品。

 

特に作者の町田そのこさんのファンではなく、

たぶん今回が初めて読みました。

 

アマプラの一覧に映画のやつが出てきて、

なんとなく思い出し、読むことにしました。

あっという間に読めてしまいました。

いわゆる娯楽小説だけど、フィクションだけど、

きっと、こういうことってあるよなあ…人間って救いもあるけど、

性善説はやはり信用できないかも…と思ってしまった。

 

主人公は、いろんな過去を持って、祖母のあった家、大分にひとり引っ越す。

人生の 3 章目を始めるために。

そこで、たまたま虐待されている男の子に出会う。

その子の居場所を探しつつ、慈悲をかけて、逆効果になってしまう恐ろしさ

自らの過去や、トラウマ、そういうものと向き合いながら、

誰も聞いてくれなかった自分の叫びを、つらさを聞いてくれる人が

たった一人でもいるありがたさを感じ、誰かに与えようとする。

 

匂いや感触、そのつらさ、雨の音

軒先のアイス、信用していいか?という疑いの目

衝動的な怒りが、憎しみに変わり、その憎しみが生きがいになって、

壊れていく人…

 

こんなに波乱万丈なことは私にはなくても、

でも、いまもこうやって虐待され、トイレでご飯を食べ、

ほかの兄弟はかわいがられて、介護させられて、

自分の本当の姿をさらけ出せずにいる人がいる。

 

私が救いたいのは人間じゃなくて、動物で、

人間は死ねって思ってるけど、人間が平和だったり、

余裕がないと、動物がいじめられるから、

そうならないようにしたい。

 

私の思う、平和な世界はまだまだ遠いな…

● ゴーンガール

なんとなくサスペンスが読みたくなって、

Amazon で好評だったものを読んでみた。

まるで本屋で表紙やポップがきっかけで読むみたいに。

 

ひとりの夫婦の物語。

ある日、妻が血だまりを残して、失踪する。

妻は、アメリカで有名な児童書を書いた夫婦の娘でとってもリッチだった。

夫と妻はジャーナリスト・記者をしていて、ニューヨークから仕事を失って、

田舎のミズーリに引っ越してきた。

 

失踪した妻のヒントをたどると、徐々に夫は妻殺しの疑念をかけられていく。

それは妻の罠だった。

 

最後まで読んで、スッキリするというより、

ほの暗い闇の底を見つめている気分になる。

 

妻、エイミーと夫は結局一緒に暮らすことになるし、

子供も授かって、家族に改めてなっていく、

ただ、そこに幸せな未来があると思えない。

 

失踪した妻は、実は、夫に妻殺しの疑念がかかるように仕向けて、

ただ、逃走しただけだった。

夫もまた、妻の罠にハマったことに気づき、

途中から妻が戻ってくるように、妻好みの言葉を伝え続ける。

戻ってきたら、殺してやるつもりで…

 

そもそもは、夫が若い女に浮気したことが、妻の自作自演のきっかけで、

夫への攻撃だった。

その周到さと何十にも保険のかけられたシナリオにぞっとする。

すごく頭がいいんだな…。

 

それでいて、こんなに長期スパンで人を陥れたいと思えることが

その感情が生まれるだろうか?と自分で自分に疑問に思う。

 

人の感情とその沼のような深みにぞっとする。

最後は、夫から妻への「君は自分自身に毎日なるために自分を偽らなくてはいけなくてかわいそう」という趣旨の言葉で終わる。

それを聞いた妻はイライラする。

 

若いころから両親の描く小説のエイミーと自分を重ね合わせ

完璧でいなくてはならないと感じていたが故に、自我を失っているように見える。

またその自体に本人は気づいていないのかもしれない。

 

そんな状態で、自分が描くシナリオに沿って

何かが動くことが、自分を支える方法だったのかもしれない。

 

だれが被害者というわけではなく、だれがめちゃくちゃ不幸になった

幸福になったという話ではないが、胸の奥の澱みを見た。

 

こんな小説がアメリカにあることに驚いた。

 

 

● まぐだら屋のまりあ ー原田マハ

なんとなく日本の作家の新しい作品でちょっとミステリーが読みたくて読みました。

本当にこんなこと言ってはいけないんだけど、

まあ、書けそうというか、大衆小説でした。

 

ただ、気軽に読めて、読み進めたくなるってのは、大衆小説として非常に真っ当で、

「思いやり」なんだと感じました。

 

主人公は料亭の見習い。

吉兆の事件を思いっきりオマージュw
内部不正を告発するお給仕の女の子がビッチすぎるw

女の子は料理長と付き合いつつ、主人公の後輩の見習いとも付き合ってて、

最後、告発したことを後輩と悔やみ、後輩が自殺する中、主人公と寝るとか、

ビッチすぎるだろ!

そこに、主人公はそこまで心を痛めていないというか、

後輩が電車への飛び込み自殺をした罪悪感と、それから逃げて自分も死のうとすることで母に申し訳ない気持ちが強調されるが、

その前に、このビッチに振り回されすぎでは…?

 

その主人公が流れ着いた、崖の上の食堂で働く、過去になにかあった感がすごいまりあという女性の元で働くことで、人生を取り戻していくのですが、

まりあはまりあで高校の先生と不倫で付き合って、その妻と子供が自殺したり、

いやいやいやいやいや・・・なんかきれいな再生物語になってるけど、

いやいや~って突っ込みどころがすごかったwww

 

人気がある作家さんだから、もう一冊くらい読んでから評価すべきかもだけど、

明らかにキリスト教のマグダラのマリアモチーフなのはよくわからんし、

娯楽として読むのにはいいかもな…くらい。

 

海と、そこで働く日雇い労働者と、寂しい漁村の雰囲気はうまく描けている気がします。

★ Fall guy

Netflix で「すごい面白い!大絶賛」みたいなふれこみだったので、

空いた時間に見てみました。

ちょうど、プラダを着た悪魔2の女優さんがヒロインということもあり、

なんとなく、見た映画。

 

映画の中で映画製作の物語なのは少し意表をつかれるし、

なんかメタな次元で映画を見る感じが面白い。

 

主人公の男性はスタントマン。

これも、通常はわき役だし、日の目を見ない役にスポットを当てているのが面白い。

視点が面白いし、きっと製作した人は、決して人生のスポットライトは当たってこなかったんだろうな…と勝手に妄想するw

スタントマンとして活躍していたが、まさに映画のスタントで事故にあってしまう。

それでも、スタントマンの事故はきっと有名にならないし、

事故があったからといって、有名になって評価されることはほぼない。

 

助監督みたいな女性と恋仲だったが、事故をきっかけに彼女が好きな自分でなくなったと感じ、姿をくらますスタントマン。

そうするとスタントをやっていた俳優のディレクターのような人から急に連絡がくる。

恋仲だった女性がついに監督になるから、スタントマンとして戻ってこい…と。

それは、ただスタントマンとして再活躍するオファーではなく、

罠だった…

 

最後に、ジェイソンモモアが出るのも面白いし、

全体に笑える話で痛快。

 

ただ満点というよりはデートムービーって感じかな。

好きな人が事故があったとはいえ、1年も音信不通に急になったら耐えられるかな…

また再会したときに以前と同じように愛せるかな…とちょっと心理的な面で考えさせられました。

 

あと、犬かわいいw