★ シャッターアイランド
マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオの名コンビ。
そうは言っても、あまり見たことないけど。。。苦笑
自分のいま感じている世界と、
自分が自分と思っているモノは果たして、他の世界から見ても、
他の人から見ても、同じものなのか。。。
最後の大どんでん返しと、結末をどう捉えるか、人によって議論ができる映画。
痛快なドンパチも好きだけど、捉え方がいろいろある映画もいいね。
(エヴァもそうだしね)
レオ様、本当に演技というか、人となりがすごいな。。。
冷や汗とかも含め、この人、タイタニックのときの王子とは別物。
主人公のレオ様は保安官。
シャッターアイランドという孤島は、犯罪者で精神的に病んでいる人を収容している。
その中の女性ひとりが失踪。
レオ様はその事件を解決するために初見の相棒と島に向かう。
どうやら島では患者(犯罪者)に不当な手術をして、洗脳しているらしいとのこと。
凶悪犯罪者が収容される C 棟。
徐々に真相に近づいていく。。。
この映画で初めて知ったのだが、実際にロボトミー手術というものが
精神病の患者に行われていた歴史があるようだ。
脳みその一部を手術で切り取ることで、患者は穏やかに(扱いやすく)なるらしい。
真実に近づいていったレオ様だが、
実は、戦争でナチスの収容所を見たトラウマ、
実は、妻が病んでしまい、子供 3 人を殺してしまったトラウマ、
その影響で、自分自身がその施設の患者だったのだ。
最後に穏やかに決断を下すレオ様、
彼に平穏が訪れたと思いたい。
いまも、戦争や殺人はあり、その後遺症に苦しむ人はきっといるから、
そういう人はどんな治療を受けているのか興味を持った。
★ ライオン 25年目のただいま
映画館で観るか迷ったけど、明らかに泣かせにかかっている気がして
観なかったライオン。
インドで迷子になった少年が、オーストラリアで養子になり、
Google Earth を使って、生家を 25 年ぶりに見つけ、母と再会するお話し。
なぜタイトルがライオンなのか、最後まで見るとわかります。
私が仕事で出会うインド人はみんな超優秀、恵まれた家庭の子が多いので
まさかこんな実情とは知らなかった。
インドで年間 8 万人の子供が行方不明になる。
幼いころからの労働、死と隣り合わせの環境、
当然はい出せるチャンスは生まれた場所によってかなり少ない。
ただ、私たちから見ると劣悪に感じる環境でも
そこに幸せや安らぎは確かにある。
(少年は石を運ぶ仕事をしたり、石炭を列車から盗んでいる)
大筋は予想通りだったが、
いなくなった主人公を探すうちに兄は列車に轢かれて死んでしまった。
親切にしてくれた路上で暮らす子供たちは人さらいに連れていかれてしまう。
優しいお姉さんは、主人公に親切にするも売り飛ばそうとする。
養父たちは自分たちが子供を作って育てるより、養子で恵まれない子供を育てる方が
世界のためになると信じ養子を取る。
主人公が養母に言う「まっさらな子供だったらよかったのに。僕たち(弟もインドから養子に取られる)は過去を背負って、家族にならなければならない。」
気づくと、目を奪われてしまい、集中して見ることができた。
手に汗握る、というわけではないが、じんわり身体が熱くなるのを感じる。
★ ドクタースリープ
シャイニングは珍しく 2 回以上観ているので、
その続編のドクタースリープは映画館で観るか迷うほどでした。
(結果的に大きな画面でひとりで観るのが怖くて止めてしまった)
主人公は、シャイニングで父を亡くした少年ダニーが大人になった時のお話し。
おもえば、この家族は自主的に自粛・引きこもり生活をしていたんだな。
ホテルで 3 か月間も。
大人になったダニーは、過去への想いや、
ホテルから引き連れてしまった亡霊に悩まされ、
アル中で苦しんでいた。
ユアンマクレガーが演じているが、皮膚が骨格からだぶついて余っている感じ
不摂生な感じがよく出ていた。
キューブリックに思い入れがあるわけではないが、
人という生き物の怖さをシャイニングでは感じた。
豹変していく父親は決してモンスターではなくて、
誰の心にも現れる凶暴さだと思う。
本作では、ダニーは自分の過去や、ホテルから引き連れてきてしまった亡霊を
自分の心のなかの "あの" ホテルに閉じ込める。
自堕落でも、シャイニングは使わない生活をしているが、
より強いシャイニングを持つ、少女と出会ってしまう。
少女は、シャイニングを持つ野球少年が、
シャイニングを食い物にして、半永続的な命を手に入れている集団に
無残に殺害されたことを知り、戦おうとする。
少女ならではの、無鉄砲や相手に挑む気持ちも
非常に心地よい。
(今よりも若いころはもっと世間自体に怒りをきちんと感じていた)
人間の本性や、誰もがもつ凶悪性はもちろんだけど、
私が注目するのはシャイニングを食らう人々。
ローズという女性をリーダーに半永続的に生きる人の集団なのですが、
ローズは共同体という仲間を手に入れたことを言っていた。
だれもが人を傷つけてしまうかもしれない凶暴性を持ちながら、
共同体で生きる意味を探しているんだろうと思った。
● 池波正太郎:男の作法
池波正太郎の小説は多々読んでいたのですが、
エッセーのような本書は初めて読みました。
エッセーというより、「押しつけがましくない個人の考え方」という感じ。
(それがエッセーやねん!って言われたら、そうなんだけど)
そもそも各章のタイトルが秀逸。
てんぷらは腹をすかして、親の仇のように揚げたてを食え!的なやつとかwww
考え方に筋が通っていて、それでいて
今の時代に合わないけど、依頼があったのでしたためるよ、決して他人に押し付けないからね、という姿勢も非常に好感が持てる。
女性に関しての考え方や、身のふるまいは今も同じことはできないけど、
かっこいいなあとおもえてしまう。
小学校しか出ていなくて、原稿を書いて、物書きになったのは本当に尊敬する。
例えば、占いに関する考え方も、すべて占いどおりには運命が動かないけど
気を付けるきっかけになればいいじゃない!という考え方も好き。
たしかに、「今年は厄年だから、イラっと来たけど、これで縁を切ってしまうなんてあかんな、気をつけよう。自分から怒らず会話してみよう」とおもえたら、占いも本望だと思う。
若い人への言葉に
「プロセスを大切にしてほしい」と言っている。
役所で税金を集める係をしていたことがあるんだって(びっくり)。
イヤな仕事や下の仕事をやるべし。。。と。
そして、毎日1000円ずつ払えるように通ったり、
自分のポケットから滞納者の香典を払ったり、、、
でも結果、そういう人が納税してくれるようになると。。。
努力だけだと報われなかったときにがっくりくるから
楽しんだものが勝ち。
何度も読み返したいな。
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★ 聲の形
京アニの作品。
これを作った人の中の誰かが、あの凄惨な事件に巻き込まれたのかと思うと
痛ましい気持ちにもなるが、こうやって、作品は残るんだなあ。
私が死んでもなにも残らないな。。。と思いました。
小学校のときに、転校生で耳の聞こえない子が来て、
その子をめぐって、いろんなことが起こる。
主人公の男子は、いじめの首謀者で、かなりひどいことをする。
ただ、おとなになって、自分の関係ないところで
見ているので、「ひどいな」と思うけど、
実際に小学生でその場にいたら、そう思えないかもしれない。
他の女子のように悪口を言ったり、
ハブにしたりすると思う。
心の中と、行動が繊細に書かれていて、
解説やわかりやすさが際立たず、見る人が自分で考えたり、
集中して、見て、ほどいていく映画でした。
川井さんって女子は嫌いだけど、こういう人いるよなーって思うし、
思春期の世界が嫌になる瞬間とか、
いまより、きっといろんなことにささくれだってたなって思った。
私も小学生のころ、輪番みたいに無視されて、
教室にひとりでいたけど、誰にも言えなかったことを思い出した。
最初にヒロインの耳の聞こえない子の話すのを聞くと
(耳が聞こえない人ってはっきり発音できないので)
少しびっくりしてしまう。
きっと本人の前だったら、察されてしまうんだろうな。
反射的な差別・区別をなくせるようにしたいな。
★ PET 2
在宅勤務になって、
留守中に自分のペットがどう暮らしているか?という疑問は解決した。
昼間は。。。寝てる。。。苦笑
でも誰もが思う、留守中のペットの気持ちを見事に描いたのが、
PET初代作。
さすが!なのがキャラはキャラでありつつも、
動きはきちんと動物なのよね。
猫の動きを見てると「ああ、うちの猫もこれやるよなあ」って思う動作ばかり。
PET 2 はおなじみのキャラが出る続編。
果たしてトラを飼うことができるんだろうか、、、とか
アニメならでは矛盾はあるものの、
子供も楽しめて、大人も学びのある安定の物語。
主人公のマックス(小型犬)は飼い主と
ニューヨークで 2 人(?)暮らしだったけど、
初代作で、新しい同居犬ができて、
今回は飼い主さんが結婚して、子供もできちゃう!
生活は日々変わっていくし、
周りも成長したり、いなくなっていく、
そんな変化に最初は恐れているマックスだけど
子供と一緒に乗り越えていく。
(このあたりはニモの話に似てるかも)
新しいもの、怖いものへ立ちむかう気持ち
怖くても怖くないふりを最初にするのが大事!って習ったり、
仲間のキャラの濃さにもくすりと笑えるところ多々。
ファミリームービーにうってつけの一作。
★恋は雨上がりのように
高校生とファミレス店長のおっさん(45)のお話。
原作の走るスピード感や、景色の美しさにはまり、
映画も大泉洋と小松奈々さんが違和感がなかったので
久々の日本映画+淡い恋物語。
ケガで走ることを挫折した主人公。
たまたま入ったファミレスの店長の心遣いが、
折れた心に染み、そのファミレスでバイトを始める。
高校生ならではの友人関係・バイトでの人間関係
若さという乱暴さ、人生への諦め、
誰もが少しは感じたことのある、感情の破片が
ちりばめられた作品。
走る彼女の疾走感
その瞳の先にうつる天気・景色、変わっていく雲・雨の模様
「たちばなさん(主人公はいつも雨とともに現れるね」って
店長が言う。
店長への想いは、走れなくなったことへの感情の行き先の結果か、
たまたま優しくされたことへの憧れか、
自分が知らない世界を知っていることへの尊敬か、
それが恋なのか、少し危ういところも含めて
心が洗われる。
ちゃんと主人公みたいに、好きだって伝えられる
まっすぐさと正面から気持ちをぶつけることに
大人になって、うまく逃げて、ごまかしているなって思った。
女性だけど、主人公の女子高生より、
年齢もあり店長の気持ちに近く感じる。